2月5日

晴れ。よる、雪が降る。


夜、羽毛みたいな雪が降って、これは積もる雪だと心踊って、じっとしてらんなくて平安堂に行く。最近は細かい雪ばかりで朝が過ぎればまんな消えてなくなるくらいのしかなかった、これは積もる雪だ。視界一面に溢れる雪は、普段見えない空気の微妙な流れも見せてくれる、目の前は右から、ほんの数m先は左から巻くように。雪が降るのを嫌がるのは大人だけだ。明日、車が…とか言い出してつまんない。子供はみんな、喜ぶ。勝手にそう信じている。ほんとは、みんな、喜ぶ。

二時間もして外に出たら、やんでいた。


ミシェル・レリス『幻のアフリカ』を、ちびちび読む。地理が全然頭に入らないのはいつものことだが、どこにいってもアフリカの人は朝からタムタムを叩いて歌い、踊っている。それは陽気ということなのかわからないけど、祭りのなかで若い女が踊りのさなかにトランスし、踊りすぎて倒れる場面を記している。そんな、踊りすぎて倒れる人なんて見たことない。僕らのなかにも、まだそういうところが身体の裡に、わずかでも残っているだろうか。

レリスは、禿げる夢を見て悩んでいる、とのこと。僕も禿げる夢を見た。


だいたい、いつも禿げ方がおかしくて逆モヒカンみたいに帯状で髪が剥けたりする。そしてそれに気付いて、やっぱりかなりショックを受けた。それで目が覚めたら、そのショックがまだ残っていて、普段は禿げたって帽子被ればいいし、なんなら坊主になっちゃえばいいんだから、それは気にしたりするようなことじゃないよ。なんて平気な「ふり」をしていたことを思い知らされて、今後禿げたときは、素直に傷つこう、と決心した。

という夢を見た。先月。