12月4日

朝起きるとハラハラと雪が舞っていて、そのまま勢いを強めたり弱めたり夕方まで、本格的なはじめての雪の日。西の山はみんな地が白くなっていた。東の南アルプスは低い雲と雪だか靄だかでまるで見えない。さぶい。

朝八時、コーヒー豆発送を知らせてくれるメールが届くと通常なら翌日届く豆が、なんと2時間で届くという驚きの速さで、雪のなか焙煎。ベラを配ったり、なんやかやで時間はすぎていく。空いた時間で小説を2枚進める。最初書いた60枚はよして、また書き出したそれも25枚くらい進めたところでだいぶ時間が空いていたら先に進めなくなって、また最初から書き直しているうちにどんどん違うところにきて50枚。 夕飯に、残った鹿肉を圧力鍋にかけてスープカレーをはじめて拵えてみる。おいしい!スパイスを適当に調合するだけでも、全然おいしく、しかも安い。雪が降り、霙がまだやまない夜に汗をかいた。 昨日から、水木しげるの今年刊行された漫画大全集の昭和史を読む。歴史小説大河ドラマも全然読まない(ほとんどの歴史モノが好きになれないのは、現代の人が歴史上の人物、たとえば竜馬みたいには扱われないのと同じ理由で)なかでも、水木しげるの戦記ものは好きだ。小島信夫田中小実昌もそうだけど、水木しげるの戦争記は記憶を美化してない、生の絵がゴロンと投げ出された感触があって、それは正反対にとにかく自虐的になることも勿論ない。こういうのを読んでると、いつのまにかその渦中にいることになるのが戦争で、そこで街をあげて歓喜の声で戦員を送る人や反対して涙を流す人、戦地で初年兵をいじめる古兵や特攻を戦略としたり敗色濃い戦闘が見えない将校も、誰もがみないまの僕らと同じように普通に生活していた人だったのだ。そのことは、当たり前と思うかもしれないけど、どうもすぐそんなこと忘れてしまうのが人間みたいだ。 そして、いまは実に満州事変ちかい当時の日本に似てきたのかもなあ、と浅い知識であるが思ったりした。いまや日本も標的である、と名指しされてしまったわけだし。 「戦争になったら、どうする?」と言うので、「一も二もなく、逃げるよ。」と言った。