読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

小屋を建てている。

小屋を作る。


庭の白木蓮を移し、廃材をタンパーがわりにしてコツコツと地面を叩いて軽く締めていく。あとで意味のないことに気づく。

敷石に重量コンクリートブロック120mmで、一個ずつ水平をとる。水準器があれば、とても楽。糸を使う方法が載っているけど、いまいち要領がつかめない。

というか、調べすぎで基礎をどうやって打とうか悩みだしていることに気づいて、危ない危ない。モバイルハウスだよ、と自分に突っ込んでみる。基礎を打つことは是が非でも忌避するようなことではない。坂口恭平のDVDを眺める。この人の本や映像に触れ、即座に同じものを作り出したら、それは単純にすぎるだろう。この人が促そうとしていることは何よりも考えることだからだ。福島から避難してきた人々から一度も礼がなかったことをどこかで嘆いてたことを思い出す。実際に小屋を作り始めてわかったのだけれど、3万円の「モバイルハウス」では風雨の浸食で間もなく傷むだろう。それでもいいのだ。大事なのは具体的に提示されたものより、そこに辿り着く思考の軌跡のほうなのだ。3万円“でも”できる、という事実のほう。

僕の場合は、もう少し長持ちしてもらわないと困るので、より建築よりの建物になる。でも、基礎はいらんだろう。いまの自分が拘るところに基礎は含まない。だからコンクリートブロックでいい。三畳の小屋なんだし!

広めに穴を掘って、四箇所すべて水平をとってから、穴を埋める。

根太、床下に2×6注入材をカットして組む。クランプを根太にかませて、捻れをとりながら90mmコースレッドで留める。父親がふらふらとやってきて、手伝ってくれる。二人になると進む進む。ありがたい。と同時に一人で済ます方法も考えること。

カットして余った材を丁の字に組み、直角をとれるジグを拵えて、それを使ってL字をふた組つくり、それから合わせる。ジグがあると、それで仮固定してできる。対角線をみる。四角を作ったとき、微妙なずれや角度をどうやって微調整をするか調べないといけない。今回は床の合板が隙間なく貼れれば問題ないのでそのまま放置。

針葉樹合板120mmを床板に貼る。

柿渋で床の塗装をする。墨汁を混ぜる際は、そのままでは分離してしまうので、まず墨汁を水で薄めておいてから、柿渋を混ぜていくこと。


裏面の壁の骨組を作る。だいぶん慣れてきた。貰ってきた(拾ってきた?)窓、扉の寸法を測って正面、側面の骨組の設計図をつくる。組みあがりを具体的に何度も想像して図面にして、見落としがないか確認しながら起こしていく。


で、実際に組み始めてみると全然気づかずにいたところが盲点となってぽっかり空いてるところが出てきて、またちょっと頭の中で戻って設計し直して図に起こし、ホームセンターに行ってそのとき買えるだけの木材その他を買って、一tトラックを借りて運転する。一tとらっくのハンドル(ステアリングというとかっこいい)は普通車よりも水平に近くて握る感じもしっくりくる、これをぐるぐる回す感じでカーブを切る時は車に殆ど興味のない僕にもその楽しさがちょっと解るような気がする、気がするのは解ることのほうで実際に楽しい。

木材を下ろしてトラックを戻し、また戻ってブルーシートをのけ、道具を取り出し木材を並べ寸法を採り、丸ノコでカットし床に持っていき、直角になるように90mmコーススレッドで留めていく。はじめにビスを一方の材から先っちょがほんの少しだけ飛び出るように打ち、そこに刺すことで組む材を軽く固定してビスを一つ、インパクトドライバーで留める。それから、クランプを噛ましてそれを使って捻じれや歪みを極力取りながらもう一つのビスを打つ。

この時、後になって切る時、測るとき、組むとき、もうちょっと正確にやれれば後が楽になったのになぁと結局思うことになるので、もしくは出来上がりに隙間ができるであろうから、なんとか調整する。

六月半ばの週末は梅雨に入ったのにとにかく陽射しが強くて体力が奪われた。

隣のおじいは認知症で、この家を自分の土地だと勘違いして、誰の許可で何をしとるのよ、お前は税金を払っとるのか、と来てここは暑いといって帰っていく。認知症という言葉は、このおじいに限らず同様の症状(症状というのにも、かなり抵抗があるけれど、うまく言えないので症状って言ってしまったけれど)の人に起こっていることを致命的な勘違いさせてしまう気がする。

どのような小屋を建てるか、といことは建てる人の思想を反映させる。大手メーカーで家を建てることでももちろん反映されていて、そのときの反映の仕方は『抱擁家族』のような仕方でなるのだろうで、セルフビルドで建てると日曜大工的な、端っこから積み上げていってその都度つじつまを合わせていくようにするのか、2×4で規格をもって完成図から逆算していくのか、そんなところに差が出てくる。そこの中間的なところでゆらゆらしながら四苦八苦している自分に気づいて、そのあまりに自分らしさに苦笑する。雨が多い。

やはり屋根は芝屋根にしようと思い、また計画がちょっと変わった。


宇田川榕庵のことを調べている。