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11月8日

天気はどうだっただろう、金曜日だった。つい一昨日のことを必死に思い出そうとしてみる。そうだ、井上さんから電話をもらい、暖かい陽の下に出て店に行こうとしたら、帽子を取ったほうが気持ちいいとおもいながら歩いていると用事がなくなり、それが2時を回っていたからで、その後そのまま喫茶店に行きたい気持ちを抑えられず、念のために財布をみると中に38円しか入ってなくて、あとは髪留めで、すぐに踵を返して家に戻った。

そのすぐ後の記憶はなくて、風呂場の割れた窓を修繕して窓枠をヤスリで整えてはめ直したのだった。

物干しのロープを新しいのに結び直した。その頃にはもう肌寒くなり始めていた。

一つ、思い出すとズルズルとその時の記憶が浮かんでくるけれど、どこに触れることでそれまで全く影も形もなかった光景が呼び起こされるのだろう。金曜日の晴れた日光の下は、夏の暑い昼間と違う寒い時期のほんの短い暖かい時間で暖かさも違うけれど、他のどれとも違う暖かさなわけでもなく、それを金曜日の暖かさだったことを僕は疑わないのはやっぱりその時にしかなかったからなのに、ならなぜ時間が経つと他の日の繋がりに埋没するどころか、記憶の滓すら残らなくなっていくんだろうか。

こう日記に記すことで、あの空気の芯はピンと冷えているところに陽が差してフワリと暖かい午後2時の金曜日のことをたびたび思い出すことになるだろうか。すると、この日記はあの陽射しを内包してるんだろうか。