7月11日
快晴。綿菓子みたいな雲が二つ、三つ。
午前中に目が覚める。正午まで眠気と共闘するも敗北し、これで寝れても起きたら2時は確実だ!ということで、そのまま起きる。
納豆ご飯とお味噌汁。掃除機をかける。シャワーを浴び、洗い物を済ませ図書館に行く。伸びてきた前髪がおでこに張り付いてうざったい。とてもいい天気だ。
『カンバセイション・ピース』読了。なかに、百五十億を数えると四百七十六年かかる、という会話が出てきてて驚く!自分が書いている小説の冒頭に、一億を数えるとどんだけかかるか?という会話をして、つまり一億なんてわかったようで全然人間には具体的に想像できるような代物ではないのでは?という話を書いた。
一度『カンバセイション』は通読していたのに全然覚えていなかった。ちょっと嬉しい。
四時になり家路につくと、まだ四時なのにもう日が傾きはじめ空気が黄金色に色づきはじめている。梅雨が開けたばかりのこの時期はもう日が短くなっている。自分が思っている日の長さと実際の短さのズレは、僕だけのものだけではないのでは?
であれば、夏のこの実際の日の短さは、夏から連想するあの郷愁や昼間の圧縮された濃密な青い青い空や儚いほどあっというまに過ぎる時間の一端を担っているようだ。
柚子カステラを頬張り、昨日のカレーを今日も食べる。
日が完全に落ちるまでの時間は長く、七時はまだ明るい。山が連なる北西〜北を除いたほうぼうから烏が、昼間の行動範囲から寝ぐらの神社に一斉に戻ってくる。障害物のない空を自由に飛び回ってくるかというとそうではなく、決まったルートをほぼ直線に進み、時折軌道修正している。神社の杉から一匹のヒグラシの声が聞こえてくる。
烏たちが戻ると、10分もすれば空は夜の暗い青さへと移行する。風越山、木曽山脈の向こうに出来たてのような小ぶりの入道雲のようなモコモコした雲がのぞいている。三日月。
そういいば、昨日ミスドで原稿を開いてボンヤリしながら唸っていたとき、
「○○○○です?」
「はい?」
「○○○○さんです?」
「なんです?」
「稲葉浩志さんです?」
「いいえ、違います」
知らないおじさんに声をかけられた。あんまり背が高くないことくらいしか似てない…
黙って握手と手を差し出せばよかったかもしんない。