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6月10日

ずっと曇っているが、また雨は降らなかった。どんより、という雲でもない。


松浦くんを誘ってweedgardenに行く。途中、歩道でただ寝っ転がっているのか倒れているのかわからないお婆さんを松浦くんが見つけ、戻り、声をかけるとこけてしまって起き上がれない。祖母のことを思い出す。近所の、息子さんを知ってるというおじさんも駆け寄り、おじさんに後をまかした。


佐々木さんに整地前と今生えている植物の名前を訊く。小説の粗筋を聞かれて、書き始めの十枚を読んでもらうと、松浦くんは

「十回読まないと、わからないな。こう、話が一点に集中していってね、そういうのが僕は好きなんだけど、これはもう拡散していくだけって感覚があるよ、たはは」

と言い、まさしく僕は拡散させているので良かった、と思った。そして、昨日の自然を肯定したい、そのことを小説にしたい。と話したが、興味がない顔をした。すごく、わかりやすい顔だったので笑ってしまった。


お客さんから昔の天竜川を上る鰻の話を聞く。遠山、天龍村、あの辺りの三河杉を流し、下っていき、午後の海からの南風に帆を張って再び天竜川をのぼってくる。上村の山師の腕に「いっしん」という彫物があり、博打打ちだった。伊那、高遠の古民家の蔵は米を蓄える、飯田のそれは中身が違う。母屋の隣の長屋は、米ののち、養蚕に使われたものであろう。若いうちに年寄りの話なんか聞いてもしょうないが、この年になると(50代は後半になる)もう遅すぎる。いつだって、丁度いい時なんてないのかもしれないな。